代表ウィークによる中断期間中に声明を出し、「リーグ優勝」という目標の下方修正をおこなった浦和レッズ。
現時点での勝ち点、順位および消化試合数を冷静に受け止めますと、目標の達成は非常に難しい状況だと理解しております。
…(中略)…
引き分けではなく勝利を積み上げ、可能性のある限り諦めることなく闘っていくとともに、カップ戦を含め一つでも多くのタイトル獲得を目指します。
予想通り、リーグは出来るだけ上の順位を目指しつつ、カップ戦でのタイトルを目指すというもの。
そして迎えた第17節の名古屋戦。中断期間のトレーニングの成果(特に攻撃面)を感じさせる内容で3-0の勝利。今季初めて、完勝と言えるような内容であった。
セットプレーに、おそらくパターン練習したであろうハーフスペース攻略。
— 18K (@redsnovas) 2022年6月18日
いいよいいよー
しかし、ミッドウィークの天皇杯・ザスパクサツ群馬戦でまさかの0-1の敗戦。
ACLのために最も重要視していたであろう大会からドロップアウトする失態を犯してしまう。
そして迎えた第18節、神戸戦。
天皇杯の敗戦を受けての試合であり、アウェイとは言え最下位のチームとの対戦。絶対に勝たなくてはいけないという試合となった。
しかし、スタメン復帰したユンカーが、開始10分ももたず負傷交代。
その影響もあってか、サイドの高い位置までは比較的スムーズにボールは運べるものの、そこから先の推進力・展開力・スピード感に乏しく、ゴールの匂いがしない攻撃の繰り返し。
やられる気配はしないものの、勝てる気配もしないという、今季何度も観た光景が繰り広げられていた。
そして迎えた89分。
ゴールから少し離れた位置で獲得したフリーキックを、モーベルグが芸術的なキックで沈め、虎の子の1点を守り切って勝利。絶対に勝たなくてはいけない試合で勝利をおさめた。
📺PLAYBACK GAME📺
— 浦和レッズオフィシャル (@REDSOFFICIAL) 2022年6月26日
試合を決めた #ダヴィドモーベルグ のFK❗
鋭く落ちたボールはクロスバーに当たってゴールへ👏👏👏#REDS030th #urawareds #浦和レッズ #WeareREDS #Jリーグ pic.twitter.com/hUbpJvZjrG
ボールスピードや落差など、なかなかお目にかかれないフリーキック。
キックの質自体すばらしいものであったが、何よりも勝たなくてはいけない試合でチームを勝利に導くゴール。
まさに、「背番号10」が果たすべき仕事を果たしてくれた。これにより、浦和は10位まで浮上。
今季の浦和は非常にロジカルな戦いをしていると思うが、逆にその論理の内側でしか戦えてないようにも感じる。
長年浦和を通してサッカーを見続けて感じることは、得点の4割くらいはセットプレーを含めて何の脈略もないところから生まれているのではないかという事。
今回のように長距離FKを個人の能力でゴールに沈めたり、ポンとDFラインの裏に蹴ったボールにスピードを兼ね備えたFWが追いついてゴールしたり、苦し紛れに打ったミドルシュートがディフレクションして入ったり。
そんな感じの、試合の流れの延長線では捉えられない形で決まるゴールが結構あると思っている。
ところが、今季の浦和を観るとそのようなゴールがあまりなかったように感じる。キレイに崩そうとしすぎているのか、たまたま運が向いてなかったのか、試合の論理(流れ)を超えたところでの得点はほぼ無かったように思う。結果として得点が足らずに、今の順位に甘んじているのではないか。
ロジカルな攻撃を放棄する必要はないが、個人技ゴリゴリの得点や運任せの得点を忌避する必要もない。観る側は、「たまたま入った脈絡のない得点で勝っても不安だ」と思いがちだが、そこは素直に喜び、勝ち点の帳尻を合わせられているうちに内容の向上が図られるのを期待して待てばよいと思う。