両チームとも、いつも追っかけて観ているわけではない。浦和と対戦するときに、相手チームとして観るくらいだ。
ただ今回は、いわゆる判官贔屓に「札幌の監督として、埼スタの北側に立つミシャ」というストーリーも乗っかって、札幌を応援していた。
開始早々の先制点、後半アディショナルタイムでの同点弾で生じた流れ、その流れからの相手の一発退場・勝ち越しのFK、相手のPK失敗。
振り返っても、やっぱり札幌は何度もカップを掴みかけていたと思うが、最後は川崎が持って行った。
これが、これまで何度も決勝の壁にはじかれた悔しさと、その後のリーグ連覇の経験からくる、川崎というクラブが積み上げてきた底力というものなのだろう。
そしてこの積み上げは、こういった舞台での勝ち負けを重ねることでなされていくのだろうと思う。観ているだけ人間が、偉そうに言えることではないのだが。
浦和というクラブを長く応援していると、掴みかけた栄光が手からスルりと落ちていく感覚、悲しさ・虚無感・怒り・情けなさ etc... の入り混じった、よくわからない感情は何度も味わっている。
なにせ年間で一番勝点を積み上げても、リーグ優勝ができなかったクラブだ。
「こんな思いをするならば、いっそのこと応援をやめよう」なんて何度も思ったことはあるけれど、でも、その積み重ねが報われた瞬間も、何度も味わせてもらっている。
偉そうになってしまうけれど、札幌は今、この積み重ねの過程にいるのだろう。
今回は優勝しなくてよかった なんて事は絶対ないけれど、勝てなかった事も優勝と同じくらいの財産になるはず。
クラブをここまで引き上げた、ビジョンを持ったクラブ幹部と、確固たる戦術とそれを表現する手腕を持った監督を抱える札幌に、とても羨ましさを覚えた。